ここでは元裁判員であるわたしが、裁判員制度について解説します。
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そもそも裁判員制度って何?
裁判員制度とは、平成21年に作られた制度です。国民が裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合はどのような刑にするのか、裁判官と一緒に刑を決めてもらいます。
どんな事件を扱うの?
国民の関心が高い重大事件を担当してもらいます。具体的には殺人、強盗致死傷、現住建造物等放火、傷害致死、危険運転致死などがあります。
必然的に量刑が重い事件が多いため、裁判員にはプレッシャーになるかもしれません。
ちなみにわたしが参加した事件は「強制性交等致傷」でした。
裁判はどこで開かれるの?
裁判員裁判は「地方裁判所」で開かれる事件を扱います。そのため、自分が住んでいる地域の地方裁判所に行くことになります。
地方の裁判所一覧はこちらを参照ください。
各地の裁判所一覧
https://www.courts.go.jp/courthouse/map/map_list/index.html
どのような人が裁判員に選ばれるの?
20歳以上で衆議院議員の選挙権がある人なら、原則として誰でも裁判員に選ばれる可能性があります。
裁判員になることができない人には
・禁固以上の刑に処せられた人
・国会議員、司法関係者
・自衛官
などがありますが、この記事を読んでいて、上記に該当する人はほとんどいない、つまり
「20歳以上なら誰もが裁判員に選ばれる可能性がある」
と言えるでしょう。
法律の知識がなくても大丈夫?
大丈夫です。裁判員裁判では、法の知識がない人にもわかりやすいよう配慮がされています。
評議の際、被告人の量刑を決めることになりますが、これは裁判官から事前に説明があります。
どんなステップで裁判員に選ばれるの?
裁判員に選ばれる人は、主に5つのステップに分かれています。
1.裁判員候補者名簿の作成
・時期:前年の秋頃
まずは裁判所が裁判員候補者名簿を作ります。候補者はくじで選ばれます。
2.候補者への通知・調査票の送付
・時期:前年11月頃
候補者へ通知が行きます。まだこの段階でも裁判官になったと決まったわけではありません。
3.事件ごとにくじで裁判員候補者が選ばれる
・時期:事件ごとに異なる
裁判員裁判の対象となる事件が発生するたび、くじで裁判員候補者が選ばれます。候補に挙がらないまま終わる人もいます。
4.選任手続き
選ばれた候補者が集まり、くじを行います。ここで選ばれた人が裁判員になります。
裁判員に選ばれる人は。1年で約7,600人ほど。
20歳で選挙権がある人はおよそ1億人おり、裁判員に選ばれる確率は約0.01%と言われています。
裁判員って辞退できないの?
原則的には「辞退できない」です。辞退できるのは以下の人です
・70歳以上
・学生
・重い病気やケガを負っている人
・妊娠中・出産の日から8週間以内
・親族や同居人の養育・介護
その他の事情としては
・とても重要な仕事があり、自分で処理しないと著しい損害が生じる恐れがある
・父母の葬式への出席など重要な用務がある人
などが該当します。
裁判で仕事を休んだ場合、不利益を受けたりしませんか?
裁判員の仕事に必要な休みをとることは法律で認められています。
また、裁判員として仕事を休んだことを理由に、不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
とはいえ、勤め人で5日~3週間の休みを取れる人が、どれくらいいるでしょうか……
裁判には何日ぐらいかかるの?
最高裁判所のデータによると、裁判にかかった日数は
・4~6日は56.5%
・7日以上が43.5&
となっていました。
資料では「たいていは5日前後で終わる」と書かれていますが、
裁判が長期にわたる可能性もあると考えておいた方がいいでしょう。
わたしの場合は裁判に13日、休日を含めると3週間かかりました。
裁判員になるのが不安なんだけど……
実は裁判員裁判は「やりたくない」と感じる人の方が多いです。
裁判員に選ばれる前の気持ちは
積極的にやってみたい……29.5%
あまりやりたくない……29.8%
やりたくない……13.3%
となっており、約4割がやりたくないと感じているのです。
裁判員をやった人の感想は?
裁判員に参加したあとで感想を聞いてみると
非常に良い経験と感じた……63.4%
良い経験と感じた……33.6%
となっています。参加する前は不安でも、いざやってみると、みんなよい経験と感じるようです。
裁判員の辞退率はどれくらい?
裁判員の辞退率は裁判所によって異なりますが、だいたい6~7割といわれています。
日当は出るの?
裁判員裁判に参加した場合、1日当たり「1万50円以内」の日当が支払われます。
わたしの場合、午前10時から午後3時まで参加して、1日8,700円ほど支払われました。
合計13日の裁判に参加した合計額は11万円ほどです。
殺人事件の場合、死体の写真とか見せられるって本当?
本当です。
傷の状況や解剖の結果などが証拠として提出されることがあるそうです。
資料によると「できる限り裁判員の負担の少ない方法を配慮している」とのことですが、これはつまり
「写真を見せられる可能性がある」ということでしょう。
わたしが担当した事件は強制性交等致傷のため、暴力を受けた被害者女性の写真を見ることがありました。
「最終的な量刑は裁判官が決める」って聞いたけど?
上記のような質問が生まれるのは、犯人の量刑を決める「多数決」の仕組みに原因があると思っています。
評議の際に意見が一致しない場合、多数決で結論を出します。
票を取るルールですが、「裁判官および裁判員の双方の意見を含む」というものがあります。
つまり極端な話、「裁判官6人」が有罪を、「裁判官3人」が無罪を選んだ場合、
多数決であるにも関わらず「無罪」が適用されます。
このルールが「最後は裁判官がすべて決める」という噂の原因になったのではないでしょうか。
実際に参加してみると、丁寧な議論を重ねていくことで少しずつ意見がまとまっていくため、
上記のようなことは起こりにくいと考えられます。
質問募集中!
当ブログでは裁判員に選ばれた人、裁判員候補になった人などからご質問を募集しています。
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わたしの意見で、少しでも裁判員・候補者の人たちの不安がなくなれば幸いです。
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